この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Does Your Company Have a Data Science Strategy to Create Customer Value?」を元に構成しております。

Harvard Business Review のレポートで引用された最新の調査によると、今日のマーケティング リーダーにとって最大の課題のひとつは、分析に長けた人材を見つけることや採用することではなく、ありあまるデータから意味のあるインサイト(分析、知見)を抽出し、アクションとして具現化することです。

この調査では、マーケティング組織にはデータとその収集、蓄積、統合に使用する技術に熟知した分析のプロフェッショナルが必要であると結論付けています *1。これは当然のことでしょう。しかし、そこからさらに一歩踏み込んで、データ サイエンティスト以上にデータ サイエンスそのものを重視するべきだ、というのが専門家たちの提言です。つまり、すでに手にしているデータに対して的確な分析を行い、アクションへと進めることにもっと力を入れるべきだということです。分析なきデータからは、顧客にとっての価値は生まれてこないからです。

「データ サイエンティストは、データの管理や操作にきわめて長けた技術者です」と話すのは、ペンシルバニア大学ウォートン校のマーケティング学科で Frances and Pei-Yuan 冠教授を務め、『Customer Centricity: Focus on the Right Customers for Strategic Advantage』の著者としても知られる Peter Fader 氏です。「しかし、データ サイエンスの本質は、パターンを見出し、仮説を立て、検証し、結果に基づいてアクションを起こすことです。 ...
この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Does Your Company Have a Data Science Strategy to Create Customer Value?」を元に構成しております。

Harvard Business Review のレポートで引用された最新の調査によると、今日のマーケティング リーダーにとって最大の課題のひとつは、分析に長けた人材を見つけることや採用することではなく、ありあまるデータから意味のあるインサイト(分析、知見)を抽出し、アクションとして具現化することです。

この調査では、マーケティング組織にはデータとその収集、蓄積、統合に使用する技術に熟知した分析のプロフェッショナルが必要であると結論付けています*1。これは当然のことでしょう。しかし、そこからさらに一歩踏み込んで、データ サイエンティスト以上にデータ サイエンスそのものを重視するべきだ、というのが専門家たちの提言です。つまり、すでに手にしているデータに対して的確な分析を行い、アクションへと進めることにもっと力を入れるべきだということです。分析なきデータからは、顧客にとっての価値は生まれてこないからです。

「データ サイエンティストは、データの管理や操作にきわめて長けた技術者です」と話すのは、ペンシルバニア大学ウォートン校のマーケティング学科で Frances and Pei-Yuan 冠教授を務め、『Customer Centricity: Focus on the Right Customers for Strategic Advantage』の著者としても知られる Peter Fader 氏です。「しかし、データ サイエンスの本質は、パターンを見出し、仮説を立て、検証し、結果に基づいてアクションを起こすことです。」


機械学習



そこで役立つのが機械学習です。大量のデータを咀嚼し、パターンや例外を発見することに長けた機械学習を利用すれば、分析をスピードアップして、分析チームの仕事の効果を高めることができます。

機械学習は、アルゴリズムを使った反復学習でデータを解釈する人工知能の一種であり、プログラミングによって具体的にどこをどう調べればいいのか指示されなくても、インサイトを発掘することができます。この特性によって大量のデータの解釈が効率化され、従来の分析ではすぐには見つけられない問題がいち早く特定されたり、想定することさえ難しいような疑問の答えが提示されたりします。インサイトをすばやく得られるため、入ってくるデータをより効率的に活用し、カスタマー ジャーニーの全体像を把握するのに役立ちます。

Accenture のマネージング パートナーを務める Conor McGovern 氏は次のように話しています。「規律あるアプローチによってビジネスの現場にデータ分析を組み込むことができなければ、最も効果的かつ魅力的な顧客体験は実現できません。望ましい成果を上げるためには、データ分析を他の情報源と同じように意思決定プロセスに組み込み、根付かせる必要があります。

「規律あるアプローチによってビジネスの現場にデータ分析を組み込むことができなければ、最も効果的かつ魅力的なカスタマー エクスペリエンスは実現できません。」—Conor McGovern 氏(Accenture 社マネージング パートナー)

Lenovo の事例: データの効果的な活用で顧客価値を生み出す


このようにターゲットを絞ったデータ サイエンスのアプローチは、あらゆる規模の企業の競争力を高めます。その優れた成功例のひとつと言えるのが、Lenovo の事例です。同社のマーケティング チームは、高度な技術や分析ツールの活用方法をマスターし、会社全体が顧客にもたらす価値の向上に貢献しました。

副社長兼グローバル e コマース担当ジェネラル マネージャーの Ajit Sivadasan 氏は、顧客データの急速な増加と、それを効果的に活用することの重要性に気付き、まずは指揮下の e コマース ユニット内に分析担当チームを設けました。現在、このチームは世界各国の 60 以上の情報源からの顧客データやマーケティング データを統合し、分析を行っています。データの統合と分析を通して Sivadasan 氏が気付いたのは、ロイヤルティの醸成につながる顧客満足度は、主に次の 3 つの要素で向上するということです。

  1. オンライン エクスペリエンスの質: Sivadasan 氏のチームは、商品情報の見つけやすさや、注文の状態について十分なフォローアップができているかどうかといった、重要な変数をトラッキングしています。
  2. コミットメントの遵守: たとえば、顧客に約束した納期を守れなかった回数などをチェックしています。
  3. 商品そのもののエクスペリエンス: ソーシャル メディアや顧客からの直接的なフィードバックを分析することで、e コマース チームは商品品質の改善を図っています。

データ分析で競争を制する


効果的なデータ分析戦略を推進するために、経営者はビジネス上の課題を明確に定義し、分析によって解決できる疑問を明らかにする必要があります。これを怠れば、せっかくのデータも組織全体を間違った方向に導く材料となりかねません。

たとえば、重要なユーザー層でコンバージョンが伸び悩んでおり、解決策を見つけなければならないとしましょう(よくあるケースです)。こういった場合に求められるのは、データを調べ、顧客や見込み顧客に的確な質問を投げかけ、考え得る解決策をテストによって比較し、顧客体験を最適化することです。迅速に手を打ち、競争を制するためには、分析結果をいかにすばやく得られるかが重要になります。

機械学習によってインサイトがすばやく抽出されることで、企業は入手したデータから戦略的なアクションを引き出し、成果につながりやすいインサイトに注目して意思決定の質を高めることができます。

INSEAD でマーケティング担当教授として教鞭を執る Joerg Niessing 氏は次のように語っています。「経営者が従来どおり戦略的な決定を下さなければならないことには変わりありません。市場の力学について理解し、競合他社の動向を把握して、会社としてどのような手を打つべきか決める必要があります。唯一の違いは、そういった判断の材料として役立つデータや分析が、従来よりもはるかに豊富になったことです。」


データ分析による顧客価値の創出について詳しくは、Harvard Business Review からインサイト センターの記事集「Measuring Marketing Insights: Turning Data Into Action」をダウンロードしてご確認いただけます。


この記事の初版は、HBR.orgスポンサー コンテンツとして 2016 年 8 月に公開されました。

*1 Harvard Business Review Analytic Services「Marketing in the Driver's Seat: Using Analytics to Create Customer Value」(2015 年)

投稿者:Karen Budell - Google アナリティクス 360 スイート担当コンテンツ マーケティング マネージャー

この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Rethinking Marketing Measurement from the Ground Up」を元に構成しております。

スマートフォンが登場してから、ユーザーとブランドとの関わり方は変わり始めました。変化は徐々に勢いを増し、今ではスマートフォン ユーザーの 91% が、作業中にスマートフォンで情報を検索するようになりました *1

今日、デジタル マーケティングへの消費者の期待は高まるばかりです。消費者は自分が 知りたい、行きたい、体験したい、買いたいと思う瞬間に、ブランドが自分の疑問に答え、自分がまさに望んでいる体験を提供してくれることを期待しています。彼らが購入までに進む全ての端末とタッチポイント、あらゆるインタラクションでそれを期待しています。


したがって、マーケティングは次の 3 点を念頭に置いて実施する必要があります。

  1. 消費者とのすべての接点で自社ブランドの有用性をアピールできているか。
  2. ブランドの有用性はどうすれば測定できるか。
  3. 今後さらに有用性を高めるにはどうすればよいか。

企業向けマーケティングでこれらの疑問に答えるには、新たな測定方法で顧客の購入経路の全容を明らかにし、購入に至るまでの個々の接点で成果を挙げている要素を見定める必要があります。とはいえ、測定ツールや指標の多くは、マーケティングにおいてチャネルごとの成果が重視されていた時代の、パソコン環境に合わせて作られたものです ...
この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Rethinking Marketing Measurement from the Ground Up」を元に構成しております。

スマートフォンが登場してから、ユーザーとブランドとの関わり方は変わり始めました。変化は徐々に勢いを増し、今ではスマートフォン ユーザーの 91% が、作業中にスマートフォンで情報を検索するようになりました*1

今日、デジタル マーケティングへの消費者の期待は高まるばかりです。消費者は自分が知りたい、行きたい、体験したい、買いたいと思う瞬間に、ブランドが自分の疑問に答え、自分がまさに望んでいる体験を提供してくれることを期待しています。彼らが購入までに進む全ての端末とタッチポイント、あらゆるインタラクションでそれを期待しています。


したがって、マーケティングは次の 3 点を念頭に置いて実施する必要があります。

  1. 消費者とのすべての接点で自社ブランドの有用性をアピールできているか。
  2. ブランドの有用性はどうすれば測定できるか。
  3. 今後さらに有用性を高めるにはどうすればよいか。

企業向けマーケティングでこれらの疑問に答えるには、新たな測定方法で顧客の購入経路の全容を明らかにし、購入に至るまでの個々の接点で成果を挙げている要素を見定める必要があります。とはいえ、測定ツールや指標の多くは、マーケティングにおいてチャネルごとの成果が重視されていた時代の、パソコン環境に合わせて作られたものです。

しかし、現在は複数の端末やチャネルにまたがるユーザーを把握することが求められます。それには、モバイルがオンラインとオフラインでもたらす効果を考慮し、分析すべきデータをすみやかに特定して、優れた顧客体験を提供する新しい方法を試す必要があります。


データの縦割りを解消



今日、自動車の購入者は、数百回に上るデジタル端末の操作(このケースの場合は 900 回以上の操作)を経た後に購入に至ることがあります。こうした 1 つ 1 つの瞬間は、ブランドにとって有用性をアピールする絶好のチャンスです。そして、それぞれの瞬間で追跡可能なデータが残ります。

ところが、データをチャネルごとに縦割りで分析している企業は、「木を見て森を見ず」、つまり個々のデータにとらわれるあまり全体を把握できていません。これからは、そのような測定方法や戦略の縦割りを取り払って、消費者の購入経路を総合的に分析する手法を編み出す必要があります。すでに指標とキャンペーンの結果について社内で議論を重ねて、「特定のチャネルにこだわるのではなく、顧客の購入経路全体を俯瞰した上でそのニーズに対応する必要がある」と考えている方もいるのではないでしょうか。

つまり、今後の企業向けマーケティングの成果測定においては、担当者と部署、ツールとシステムがそれぞれ連携し合って、顧客のニーズに関するインサイトをリアルタイムで共有することが重要となってきます。


縦割りから総合的なデータ分析へ



1 回のセッションやクリックだけで顧客の全容をつかめないとしたら、購入経路における消費者の行動をつなぎ合わせるには、何から始めればよいでしょうか。まず最初に検討すべき点はこれまでと同じ「達成しようとしている目標は何か」ですが、「その目標をどうやって達成するか」ではなく、「その成果をどうやって測定するか」を考えることが必要です。

重要業績評価指標(KPI)は、モバイル ファースト環境における新たな目標を反映したものにする必要があります。Forrester が行った調査によると、マーケティングで業績に関連した指標を使用した場合は、そうでない場合よりも収益目標を達成する可能性が 3 倍高くなります*2

また、より多くのデータを得ることはどのような場合でも役立ちますが、マーケティングで実際に必要なのはより多くのインサイトを得ることです。つまり「成果につながったのは何か」を把握することが重要となります。たとえば自動車の購入者が小型セダンやピックアップ トラックのテレビ広告を見てから、スマートフォンでレビューや燃費の評価を検索し、性能をアピールする動画を視聴して、ディーラーでその車に試乗し、1 か月後に購入に至った場合、テレビ広告の放映による検索件数の増加、ディスプレイ広告による動画視聴の促進など、マーケティングによる実際の成果がどこで得られたかを把握できる必要があります。

モバイルはどの程度成果に貢献しているか。接点は何回発生したか。マーケティングではこうしたインサイトを把握する必要がありますが、マーケティングとその成果とのつながりを完全に把握できない場合は、その代わりとして新しい手法で確度の高い予測を行う必要があります。


マーケティングとモバイルの今後



新しい手法の成果測定を取り入れるには手間がかかるかもしれませんが、成果測定とマーケティングは密接に関係しており、どちらも急増するモバイル ファーストの消費者のニーズに対応して変化していく必要があります。新しい手法にいち早くチャレンジするからこそ、手間もかかるのです。

この機会に、測定している指標やその測定方法を見直して、使用している KPI で消費者とブランドとのすべての接点に対応できているかを確かめましょう。対応できていない場合は、なぜその指標を測定しているかを検証し、達成したい目標に適した指標が他にないか検討して、マーケティング戦略に取り入れましょう。

スマートフォンの普及によって、ユーザーとブランドとの関わり方は変化してきました。数年後には、さらなる変化を遂げることになるでしょう。どのように変わっていくのかは予測はつきませんが、こうした変化がもたらす成果を最初に測定したブランドこそが優位に立つと考えます。成果測定は最後に行うものではなく、今後のマーケティング戦略を効率的かつ効果的に展開するための出発点となるものです。


企業向けのマーケティングとデータ分析のおすすめの方法と事例紹介については、ハーバード ビジネス レビュー インサイト センターの記事をまとめた「マーケティングの成果測定に関するインサイト」をダウンロードしてご覧ください。

この記事の初版は、HBR.org のスポンサー コンテンツとして 2016 年 8 月に公開されました。


*1出典: Google / Ipsos、「マイクロ モーメントの消費者」に関する調査、2015 年 3 月
*2出典: Forrester、「マーケティング分析を業績の向上につなげる方法を確認する」、2016 年 3 月


投稿者: Matt Lawson - Google パフォーマンス広告部門マーケティング担当ディレクター

この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Marketing Analytics Can Improve the Customer Experience」を元に構成しております。

現在、ほとんどの組織では、あらゆる接点で顧客に最適な商品やサービスを提供するため、顧客体験をマーケティング戦略の中心に据えています。競争の激しいマルチチャネル市場に身を置く企業は、顧客が求めるものを求めているタイミングで安定的に提供する優れた顧客体験が差別化要因になりうると考えています。

しかし、 ハーバード ビジネス レビューのデータ分析サービス(HBR-AS)の調査によると、多くの企業はこうした差別化を実現できずにいます。調査対象となったビジネス リーダーの半数は、顧客体験を最も重要な 2 つの差別化要因の 1 つに挙げているにもかかわらず、顧客体験が高い成果を上げていると回答したのはそのさらに半数にとどまりました。

調査対象となったビジネス リーダーの半数は、顧客体験を最も重要な 2 つの差別化要因の 1 つに挙げているにもかかわらず、顧客体験が高い成果を上げていると回答したのはそのさらに半数にとどまりました*1
この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Marketing Analytics Can Improve the Customer Experience」を元に構成しております。

現在、ほとんどの組織では、あらゆる接点で顧客に最適な商品やサービスを提供するため、顧客体験をマーケティング戦略の中心に据えています。競争の激しいマルチチャネル市場に身を置く企業は、顧客が求めるものを求めているタイミングで安定的に提供する優れた顧客体験が差別化要因になりうると考えています。

しかし、ハーバード ビジネス レビューのデータ分析サービス(HBR-AS)の調査によると、多くの企業はこうした差別化を実現できずにいます。調査対象となったビジネス リーダーの半数は、顧客体験を最も重要な 2 つの差別化要因の 1 つに挙げているにもかかわらず、顧客体験が高い成果を上げていると回答したのはそのさらに半数にとどまりました。

調査対象となったビジネス リーダーの半数は、顧客体験を最も重要な 2 つの差別化要因の 1 つに挙げているにもかかわらず、顧客体験が高い成果を上げていると回答したのはそのさらに半数にとどまりました*1

情報を集めることが難しいのではありません。大半の企業は、顧客に関する膨大な情報を収集しています。調査によると、優れた顧客体験を提供する上で実際に障壁となっていたのは、組織内でデータを共有して分析し、共同作業する方法だったのです。

顧客体験を向上させることが最終的な目標ですが、そこにたどりつくにはデータを集めるだけでは足りません。つまり、複数のチャネルから適切なデータを収集し、それらを統合して顧客がたどった購入経路の全容を明らかにすることが必要になるのです。この段階で、多くの企業が試行錯誤を重ねています。複数のチャネルにまたがっている顧客データを統合し、1 人の顧客の行動プロセスを把握している企業は、4 社のうち 1 社に満たないことが HBR-AS の調査でわかっています。

データを統合して顧客価値を高めるには、縦割りの組織体制を崩す必要があります。このことは、HBR-AS の調査で、全体的な顧客体験の向上に取り組んでいる企業の最優先課題として指摘されています。縦割りの組織では、重要な瞬間に発生する顧客のニーズを把握しにくくなります。また、慣習にこだわっていると、協力して問題の解決にあたることも難しくなります。こうした企業では、適切なインサイトを構築して適切な担当者に情報を提供することや、価値を高められるような取り組みができていないとの調査結果が得られています。

データ主導のインサイト


一方、「業界トップレベルの企業」、つまり高収益を上げ、競争力の高い顧客体験を備えている企業は、他の企業と比べて縦割りを解消している場合が多いことも、この調査で明らかになりました。さらに、こうした企業では高度なデータ分析に基づいて顧客体験に関するインサイトを構築し、組織全体で共有しています。

たとえば、Progressive Insurance のマーケティング担当者は、モバイルアプリ ユーザーの行動に関するデータを収集しました。すると、ユーザーが保険の見積もりだけでなく、保険の加入までアプリで行いたいと考えていることがわかったのです。そうしたニーズを満たすため、保険に加入できるオプションを追加したところ、顧客体験が大幅に向上し、収益も増加しました。このように、顧客価値を創出すると、おのずと利益につながります。 



マーケティングが担う役割


それでは、縦割りの組織体制を崩し、個々の顧客体験をつなぎ合わせて、向上させるべきなのは誰でしょうか。

「ブランド リーダーシップ - 「見えない企業資産」の構築」の共著者である Erich Joachimsthaler 氏によると、顧客体験を向上させるには、縦割りを解消して協力体制を強化し、商品中心の手法から顧客中心の手法へと移行する必要があることを、マーケティング責任者は企業に対して明確に説明しなくてはならない、と指摘しています。たとえば、ヨーロッパのある飲料メーカーは、ブランドやチャネルではなく、消費のタイミング(夜間外出中など)に基づいてマーケティング チームを構成しています。これは、各チームのマーケティング担当者が特定の顧客体験を詳しく分析し、顧客の購入経路における個々の接点に注目できるようにすることを目的としています。

「ブランドのメッセージを発信するだけでなく、真の価値を提供するためには、マーケティングによって企業(提携会社を含む)が顧客と関わる瞬間に発生するすべての接点をつなぎ合わせる必要がある」と Joachimsthaler 氏は述べています。

詳細なデータ分析とインサイトによって、マーケティング担当者は商品の選好や購入にいたる経路など、顧客のブランドとの関わり方を把握できるようになりました。さらに、目標到達プロセスの始点におけるマーケティング活動(オンライン ディスプレイ広告やテレビ コマーシャルなど)が実店舗での売り上げやオンライン サイトでのコンバージョンにどのように関連付けられるかも明らかになりました。成果測定とデータ分析を行うことで、ブランド マーケティングとパフォーマンス マーケティングの相乗効果が生まれ、顧客にメリットをもたらすことができるのです。

こうした体制の見直しに多大なメリットがあることは明らかで、マーケティングの責任者と担当者には新しい発想が求められています。より多くのデータが必要なのではなく、そのデータから有益なインサイトを構築して、組織に提供する方法を見つけることが必要なのです。

企業でデータに基づくマーケティング分析を活用して顧客体験を向上させる方法については、ハーバード ビジネス レビュー インサイト センターの記事をまとめた「マーケティングの成果測定に関するインサイト」をダウンロードしてご覧ください。

この記事の初版は、HBR.org のスポンサー コンテンツとして 2016 年 8 月に公開されました。


*1出典: ハーバード ビジネス レビューのデータ分析サービス、「運転席からのマーケティング - データ分析に基づく顧客価値の創出」、2015 年



投稿者: Karen Budell - Google アナリティクス 360 スイート担当コンテンツ マーケティング マネージャー

この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Data Studio: DoubleClick Campaign Manager Connector」を元に構成しております。

Google データスタジオ(ベータ版)は、あらゆる場所にあるデータを接続、変換、視覚化、共有できるサービスです。このたび DoubleClick Campaign Manager(DCM)のデータをデータスタジオのダッシュボードにすばやく取り込めるようになりました ...
この記事は、Google アナリティクス ソリューション 英文ブログ記事 「Data Studio: DoubleClick Campaign Manager Connector」を元に構成しております。

Google データスタジオ(ベータ版)は、あらゆる場所にあるデータを接続、変換、視覚化、共有できるサービスです。このたび DoubleClick Campaign Manager(DCM)のデータをデータスタジオのダッシュボードにすばやく取り込めるようになりました。


この新しいコネクタの導入により、DCM のデータをスプレッドシートにインポートしなくても、DCM の 50 を超える指標とディメンションを使ってダッシュボードを簡単に作成できるようになります。このダッシュボードは、キャンペーンの掲載結果をトラッキング、改善したり、クライアントや代理店などの関係者とレポートを共有したりする際に便利です。

DCM データの新しいレポートを作成する


準備ができたら、最初にデータソース ページから DCM ネットワークまたは広告主に接続します。



次に、新しいレポートを最初から作成するか、DCM テンプレートを使って作成します。数回クリックするだけで、ダッシュボードにデータを表示することができます。


より詳しく知りたい場合、データスタジオで新しいコネクタをご希望の場合


新しい DCM コネクタについて詳しくは、ヘルプセンターをご覧ください。ご不明な点がある場合は、データスタジオのコミュニティ フォーラムに質問を投稿してください。

データスタジオでの利用や視覚化を希望されるデータサービスがございましたら、ぜひコネクタのフィードバック フォームからご意見をお寄せください。いただいたすべてのご意見に基づいて、新しいコネクタへの対応を進めてまいります。

Happy reporting!


投稿者: Alon Gotesman - Google データスタジオ担当者

概要


「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションとし、スモールビジネス向けサポートサービスを提供する freee 株式会社は、2012 年の会社設立以来、大きな成長を遂げています。

取り扱うサービスが多様化し、ユーザー数も飛躍的に増加する中、freee 株式会社では、マーケティングデータ活用の強化を目的とし、2016 年 5 月より Google アナリティクス 360 の利用を開始しました。今回は、3 ヶ月という短期間で実現した Google アナリティクス 360 のアトリビューション機能活用による ROI 改善の取り組みをご紹介します ...

概要


「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションとし、スモールビジネス向けサポートサービスを提供する freee 株式会社は、2012 年の会社設立以来、大きな成長を遂げています。

取り扱うサービスが多様化し、ユーザー数も飛躍的に増加する中、freee 株式会社では、マーケティングデータ活用の強化を目的とし、2016 年 5 月より Google アナリティクス 360 の利用を開始しました。今回は、3 ヶ月という短期間で実現した Google アナリティクス 360 のアトリビューション機能活用による ROI 改善の取り組みをご紹介します。



導入の背景と課題


クラウド会計ソフト freee」をオンライン上で提供する freee 株式会社では、新規ユーザーは会員登録により 30 日間無料でサービスを試用することができ、その後利用継続するユーザーは有料サービスへ移行する、というモデルを採用しています。これまでは、マーケティング効果を測る際の KPI を、無料サービス利用開始にあたる「会員登録」に置き、広告を含むマーケティング施策の効果測定と意思決定を行ってきました。また、広告効果測定の際、会員登録したサイト来訪の直前の広告接触、いわゆる「ラストクリック」モデルで評価をし、予算の配分をしてきました。

サービスが順調に成長し、よりマーケティング予算が大きくなる中、マーケティング部門では、今後どのように予算を効率的に投下するかが課題となっていました。また、そのため、これまでの「会員登録」ではなく、最終的に企業に利益をもたらす「有料サービスへの転換」を KPI として、貢献度が高い広告を見極め、予算を再配分する方法が求められていました。

これらの課題に対し、マーケティング部門の鈴木幸尚氏は、無料期間終了後離脱するユーザーと、有料サービスへ転換するユーザーに効果のある広告には違いがあるのではないかという仮説に基づき、顧客データを独自に分析し、検証を開始しました。

試行錯誤しながら、一部のデータで広告媒体、キーワードなどさまざまな角度から、ユーザーの有料サービスへの転換貢献度を分析した結果、有料サービス転換ユーザーに顕著ないくつかの傾向が見て取れたため、次のステップとしてより広範囲なデータでの検証を検討する中大きなボトルネックがとなったのが、「データ抽出、集計、分析に時間がかかり、リソースがとられてしまう」という点でした。

より簡易に、誰にでも実施できる方法を模索する過程で、Google アナリティクスの広告評価機能である、「アトリビューション モデル比較ツール」を使用して評価したところ、簡単にほぼ同様の分析が行えることがわかりました。しかし、当時の設定では、有料登録に関する詳細なデータをアナリティクス側で取得できていなかったため、新たな広告効果測定の指標とする会員登録後の「有料サービスへの転換」を Google アナリティクス 360 で計測するための実装しました。

実装内容


「有料サービスへの転換」をデータとして Google アナリティクスで計測するため、製品部門と連携し、「クラウド会計ソフト freee」 の中に、Google タグマネージャーを使い、支払い完了の際にデータを送信する仕組みを実装しました。また、どの広告、どのオウンドメディアを経由しているのかを正確に把握するため、次の 2 点について設定、見直しました。

多数ある会計に関するブログや情報サイトなどのオウンドメディアを広告などと同様に流入元として扱うため、Google アナリティクスのプロパティを整理

実施したキャンペーン内容とコストをアナリティクス上にに反映するため、すべての AdWords キャンペーンのアカウントとアナリティクスのアカウントを連携

結果と分析


Google アナリティクス 360 上で今回の目的に沿った「有料サービスへの転換貢献度の可視化」「ユーザーの流入経路の可視化」が完了した後、次に、どのアトリビューションモデルを使用して評価すべきか、という試行錯誤が始まりました。Google アナリティクスでの分析結果より、オンライン上での初回接触から有料サービスへの転換までのリードが長い製品であるという特徴を鑑み、これまでのラストクリックのみの評価ではなく、すべての接触ポイントを均等に評価する線形モデルが適しているのでないか、という仮説をベースに、複数のモデルで広告評価を比較しました。

次に、既存のモデルをベースに、自社の特徴に合わせて施策の貢献度を調整したカスタムモデルを作成しました。カスタムモデルが定まると、そのモデルから得られたデータより、各施策をコストと有料サービス転換数で分類し、評価の低いチャネル群から評価の高いチャネル群へ予算の移行を実施しました。

これまでの広告評価方法とは大きく異なる方法であったため、当初社内では、広告評価をこれまでの会員登録から有料サービス転換数とすること、ラストクリック以前の広告を含め評価したアトリビューション分析結果からの広告予算の再配分案に対し、本当に KPI 変更の必要があるのか、有料サービス転換数が減る結果にならないのか、などの懸念があげられました。

丁寧にデータを示して繰り返し説明し、予算配分については全体の案の 10 分の 1 程度から開始して結果を出していくことで、社内に新たな KPI とアトリビューションによる広告評価と予算配分が浸透していきました。

元々社内ではデータを経営に活かす文化が根付いており、データによる意思決定を重視している CEO の佐々木氏と経営層がこの新たな取組みに対し早い段階で注目し支援したことも、この取組みが早期に社内に浸透し、大きな成果につながった要因といえます。

結果として、当初半年かけて行う予定であったマーケティング予算の効率化プロジェクトは、開始から 3 か月で有料サービス転換獲得単価を半分以下に削減し、投下広告費に対する獲得効率を 200% 以上改善することに成功しました。

「最初は自分でデータを抽出から行い試行錯誤しましたが、Google アナリティクスのアトリビューション機能を使うことで、こんなに簡単に必要な分析ができるのかと驚きました。データを詳細に分析することがゴールではなく、そこから意思決定をし実際の施策の実行をスピーディに行っていくことが重要なので、分析結果については赤信号なのか、黄色なのか、青信号なのか、という大まかな結果がすぐにわかることが重要だと思っています」(freee 株式会社 マーケティング部門 鈴木幸尚 様)


今後の取組み


今回の分析結果により、現在、freee の有料サービスに転換するユーザーは、元々オンラインでの初回接触時点でのモチベーションが高い傾向が見られました。そのため、オンラインで行動を起こす前に、オフラインで freee のサービスについて認知している、ニーズが顕在化しているユーザーであることが推測されます。会計ソフトという B to B サービスかつ、想定される新規ユーザー層のデジタルリテラシーが幅広いことを考えると、オフラインの口コミや、会計や企業に関する書籍等、デジタル以外のアプローチもより重視して取り組む必要があることが改めて浮き彫りになりました。

これらの口コミなど、データに表出していない価値も捉えてマーケティング戦略を構築すること、分析結果だけがすべてではないことを、鈴木氏は指摘します。既存有料サービス会員から生まれる口コミをどのように醸成するか、またその後どう作用しているかの可視化、証明は、今後の課題です。

一方で、freee のサービスを認知していないが近い将来ユーザーになる可能性がある潜在顧客層に対するアプローチの強化も今後の課題としてあげられます。新しいサービス「開業 freee」 のような、入り口となるサービスへの拡充と同時に、現状では効率的にアプローチできていなかったディスプレイ広告についても、今後検討していく必要があると考えています。
「ディスプレイはともるすと ” 単なる背景 ” になってしまう可能性があります。” 背景 ” にならないクリエイティブを潜在的なユーザーに届けるにはどうしたらよいか、さまざまな広告を研究しながら取り組みたいと思っています」(同 鈴木氏)

投稿者 : 小澤真由子 - Google アナリティクス 360 スイート アカウント マネージャー