先月公開した記事でお知らせしたとおり、このたび Google の広告システムが欧州インタラクティブ広告協会(IAB Europe)の透明性と同意に関するフレームワーク(TCF)v2.0 に統合されました。ユーザーの同意取得のために TCF v2.0 を利用すると、Google の広告システムが透明性と同意に関する文字列を読み取り、これを尊重するので、広告主様は適用される規制を遵守することになります。
一方で、TCF v2.0 を使用されない広告主様のために、Google は、各自のユーザー同意取得ツールで Google タグを柔軟に利用するための新しいソリューション「同意モード」を導入いたします。同意モードには、グローバル サイトタグや Google タグ マネージャーを利用している広告主様向けに、広告掲載やアクセス解析を目的とする Cookie を管理するための 2 つの新しいタグ設定が搭載されています。この 2 つの設定を活用することで、同意に関してユーザーが決定を下す前後の Google タグの動作をカスタマイズできます。これにより、広告主様は広告掲載やアクセス解析の Cookie に対するユーザーの同意に関する選択を尊重しながら、コンバージョンを効率的に測定できるようになります。
広告主様にとって、コンバージョンの発生源となったキャンペーンに貢献度を割り当てることは優先度の高い課題です。これによってキャンペーンの入札単価を最適化し、成果の大きいキャンペーンに予算を割り当てることができます。同意モードを利用すると、コンバージョン データを詳しく把握できると同時に、コンバージョンの測定に使用している Google タグによって、広告掲載の Cookie に対するユーザーの同意の判断を確実に尊重できるようになります。
同意モードを導入すると、「ad_storage」という新しいタグ設定が利用できるようになります。このタグ設定は、広告掲載を目的とする Cookie の動作(コンバージョンの測定など)をコントロールします。ユーザーが広告の Cookie に同意しない場合、Google タグが広告掲載のために Cookie を使用することはありません。
たとえば、広告主様のウェブサイトを訪問したユーザーが、Cookie への同意に関するバナーで、広告の Cookie の使用に対する同意の選択を行ったとします。同意モードを実装していれば、広告掲載の Cookie をサイトで使用することについて、そのユーザーから許可を得られたかどうかを Google タグで判断できます。ユーザーの同意がある場合は、コンバージョンの測定と記録が通常どおり継続して行われます。ユーザーの同意がない場合は、該当する Google タグが設定を調整し、広告の Cookie を使用せず、通常よりも集計されたレベルでコンバージョンを測定します。
同意モードを活用すれば、広告の Cookie に対するユーザーの同意に関する選択を尊重しながら、Google 広告、キャンペーン マネージャー、ディスプレイ&ビデオ 360、検索広告 360 で運用しているキャンペーンでコンバージョンの記録を継続できます。また、キャンペーンのレポートでコンバージョンの測定を継続できるので、コンバージョンの貢献度を適切なキャンペーンに割り当て、キャンペーンの入札単価を効率よく最適化し続けることができます。
同意モードは Google アナリティクスでも使用できます。この場合、広告の Cookie に対するユーザーの同意をアナリティクスで把握し、これを尊重することになります。たとえば、同意がないユーザーに対して「ad_storage」のタグ設定が無効になると、アナリティクスで広告の Cookie の読み取りや書き込みが行われず、Google シグナルを使用している追加機能(リマーケティングなど)が無効になります。
同意モードでは「ad_storage」のタグ設定だけでなく、「analytics_storage」という新しいタグ設定を利用できます。このタグ設定はアクセス解析を目的とする Cookie の使用をコントロールします。たとえば、アクセス解析と広告掲載の両方について、ウェブサイトのユーザーから Cookie の同意を得ようとしているとします。この場合、同意モードを利用することで、ユーザーの同意の選択に応じて、それぞれの種類の Cookie に関する Google タグの動作を修正できます。また、アナリティクスでは、「ad_storage」と「analytics_storage」それぞれの設定に対するユーザーの同意に応じて、データの収集方法が調整されます。たとえば、ユーザーが広告掲載の Cookie に対しては同意しない(そのため広告掲載を目的とする設定は無効化される)ものの、アクセス解析の Cookie に対しては同意する場合、「analytics_storage」の設定は有効になるため、サイト内でのユーザーの操作やコンバージョンはアナリティクスで測定されます。
同意モードは、ヨーロッパで広告を掲載し、グローバル サイトタグやタグ マネージャーをすでに使用している広告主様に限り、ベータ版でご利用いただけます。機能の詳細については、ヘルプセンターの記事をご覧ください。
同意モードのご利用を希望される場合は、担当のアカウント チームまでお問い合わせください。同意モードをご利用いただくには、グローバル サイトタグやタグ マネージャーのコンテナの前に数行のコードを追加する必要があります。この手順をサポートできるよう、Google では複数の同意管理プラットフォームと緊密に連携しています。以下のプラットフォームは同意モードとの統合が完了しており、すぐにご利用いただけます。
ユーザーのプライバシーを保護するために規制が変更され、デジタル広告エコシステムにさまざまな影響が生じています。Google は、広告主様がこのような環境の変化に対応できるよう、サポートを提供してまいります。広告主様に実践していただける取り組みについて詳しくは、Google が作成したプライバシー ガイドブックをダウンロードしてご参照ください。また、広告掲載やアクセス解析の Cookie に対するユーザーの同意に関する選択を複数のプラットフォームで管理し、これを尊重できるように、今後も新しい機能が追加される予定です。ぜひご注目ください。
こうした課題の解決にお役立ていただけるよう、このたび Google は Google タグ マネージャーとタグ マネージャー 360 にサーバーサイドのタグ設定機能を導入いたします。この機能を使えば、サードパーティ タグの多くをお客様のサイトから外し、お客様の Google Cloud アカウントでホストされる新しいサーバー コンテナに移すことができます。すると、ユーザーがお客様のサイト内のページを操作した際に、サードパーティ タグがサイトではなくサーバー コンテナで直接読み込まれるようになります。これにより、ページの読み込み時間が短くなり、ユーザーのデータに対するセキュリティが向上し、データのコントロールが強化されます。
サードパーティ タグをサイトから移行すると、ユーザーがサイトを訪問した際に読み込みが必要なタグが減り、ページの読み込み時間が短くなります。最近実施された調査では、モバイルサイトのページの読み込み時間が短縮されたことにより、商品購入までのプロセスの各段階におけるコンバージョン率が調査対象のすべてのブランドで向上しました。たとえば、小売業のサイトの場合、モバイルサイトの読み込み時間が平均 0.1 秒減少するごとに、平均注文額が約 10% ずつ上昇しました。
ある e コマースの小売業者が、マーケティング キャンペーンを実施し、ユーザー行動を測定するために、テクノロジーを提供するさまざまなパートナー企業のサービスを利用していたとしましょう。この企業が新しいパートナー企業のサービスを利用して、メール マーケティングのキャンペーンなどを実施するには、これまでは自社のサイトにサードパーティ タグを追加して、成果を測定できるようにする必要がありました。今後はその代わりに、タグ マネージャーで自社のサーバー コンテナに新しいタグを設定しておけば、ユーザーがサイトにアクセスした際に、ページが読み込まれた後で、新しいタグがサーバー コンテナで起動するようになります。このようにすることで、ユーザー エクスペリエンスに影響を与えることなくキャンペーンの成果を測定できるようになります。
お客様のビジネスとオンラインでやり取りしているユーザーからは、さまざまな情報が提供されます。その情報については、安全性を維持し、承認済みのパートナーだけがアクセスできるようにする必要があります。
サイトに直接実装されたサードパーティ タグは、ユーザーがお客様のサイトに入力した他の情報にアクセスして操作することができます。サーバーサイドのタグ設定機能を使って、サードパーティ タグを Google Cloud プロジェクトのセキュリティで保護されたサーバー コンテナに設置すれば、サーバー コンテナ内のタグがアクセスできるのはサーバーに送信された情報のみとなり、サイトに入力された情報にはアクセスできなくなります。さらに、このタグはサーバー コンテナ内に設置されているため、タグが収集した情報やその送信先を把握することが可能です。
現在、タグ マネージャーでは、サンドボックス化された JavaScript、コミュニティ テンプレート ギャラリー からすぐに使えるタグのテンプレート、あらゆるサードパーティ タグを対象とする権限モデルを使って、サードパーティ タグの挙動をコントロールできるようになっていますが、これらの機能はすべてサーバーサイドのタグ設定でも引き続きご利用いただけます。
サーバー コンテナに追加したそれぞれのタグは、どの Cookie にアクセスするか、どこにデータを送信するかなど、挙動を宣言する必要があります。また、タグに許可する挙動を自動的にコントロールできるように、ポリシーを設定することも可能です。これにより、コンテナに追加した新しいタグに必ず同じ権限が付与されるようになり、以降はタグの挙動を定期的にチェックする必要がなくなります。
サーバーサイドのタグ設定機能は、タグ マネージャーとタグ マネージャー 360 の全アカウントでご利用いただけます。タグ マネージャーのアカウントにログインし、新しいサーバー コンテナを作成して、新規または既存の Cloud アカウントと接続してください。サーバーサイドのタグ設定機能の設定手順については、こちらのガイドをご覧ください。タグ マネージャーのアカウントをお持ちでない場合は、無料で作成していただけます。
投稿者 : Ben Fisher(Google タグ マネージャー担当プロダクト マネージャー)