世界的なブランドで、デジタルマーケティング戦略を製品から顧客中心の戦略に移行した事例として、
パナソニック社での取り組みをご紹介します。
パナソニック社のコンシューマーマーケティング部門では、Google アナリティクス 360 を活用し、2 つの国内の顧客インサイトに着目しました。
- 顧客は、大きなライフイベントの変化に伴い、製品を購入する。
- さらに顧客は同時に複数の製品を購入する可能性がある。
パナソニックでは、ウェブサイトで直接製品を国内向けに販売していません。そのため、デジタルマーケティングにおけるコンシューマ マーケティング部門の主な目的は、デジタル広告を効果的に活用して、ウェブサイト、製品のコンテンツと、顧客のエンゲージメントを高めることにあります。
今までは、パナソニックの各製品ごとに広告キャンペーンを実施し、分析、改善を行っており、パナソニック製品すべてのキャンペーンを横断した分析からレポートまでを可能にする、統合されたプラットフォームはありませんでした。
パナソニックでは、ターゲットとする顧客の生活が変わるタイミングを捉え、必要な時に必要なメッセージを配信するには、より精度の高い正確な分析が重要と考え、Google アナリティクス 360 リセラーの
NRI ネットコムと共に、統合プラットフォームの構築と活用という取り組みを開始しました。
統合されたインターフェースの構築
パナソニックと NRI ネットコムは、顧客中心の戦略へのファーストステップとして、すべてのデジタル マーケティング キャンペーンを Google アナリティクス 360 で一元管理し計測することにしました。Google アドワーズ、DoubleClick Campaign Manager、DoubleClick Bid Manager、DoubleClick Search は、Google アナリティクス 360 と同じ Google プラットフォームで統合できるため、デジタルマーケティングキャンペーンを横断的に精度高く、かつ容易な分析を可能にしました。
Google アナリティクス 360 のレポートは、デジタル広告のクリック、クリックコストだけではなく、広告から誘導後のサイト内でのユーザー行動や直帰率、平均ページ閲覧数を、クリックしたユーザー、さらにビュースルーしたユーザーも含めて分析します。
このような分析データにより、パナソニックは、ユーザーが検索したキーワード、ディスプレイ広告クリエイティブなど、どんな接点がユーザーとエンゲージメントを深めたか詳細に把握できるようになりました。
Google アナリティクスのデータを、複数部門のメンバーが共同で管理することにより、マーケティング データを全社の資産として活用できるようになりました。
適切なユーザーへの訴求
ユーザーのインサイトを念頭においてパナソニックが保有するデータを一元管理することにより、デジタル マーケティングのパフォーマンスの改善に向けて、まずは主力の各製品のリマーケティングによる訴求から始めました。
ユーザーをグループ化する機能を活用し、それぞれの主力製品のウェブサイトに訪問したユーザーを各々リスト化。Google アドワーズ、Google ディスプレイ ネットワーク、DoubleClick Bid Manager へ、そのリストを連携しました。これにより、ユーザーが興味を持った製品にリマーケティングを活用してアプローチできます。
ユーザーがどんな製品を同時に検討、購入しているかも参考にできます。例えば、テレビのウェブページを見ているユーザーに対しては、テレビだけではなく、スピーカー、その他の周辺製品についてもリマーケティングによってユーザーへ推奨できるようになりました。
また、パナソニックでは、購入意向の高い新規ユーザーに向けて、デジタル広告を展開。Google アナリティクス 360 では、ページ閲覧、ページ滞在時間などを年齢、性別、または興味(ゲーム好き、テレビ好き)などの切り口で分析できます。これらのデータを詳細に分析することで、購入意向の高いユーザーに類似した特性をもつユーザー見つけ出し、Google ディスプレイ ネットワークや、DoubleClick Bid Manager を活用した広告施策にも取り組み始めました。
これらの仕組みを活用することで、パナソニックは、人生に起こる様々なライフイベントを控えているユーザーを見つけ出し、リマーケティングすることができます。具体的には、Google アナリティクス 360 と広告の連動機能、検索連動型広告を活用し、「新婚旅行」「結婚式」などのキーワードで検索したユーザーに対し、結婚後購入する傾向がある製品をリマーケティングするといった施策がその一例です。
新しいユーザーに向けたキャンペーン
以上のような、パナソニックの顧客中心デジタル マーケティング戦略は一定の成果を収めてきています。デジタル広告キャンペーンでは、クリック率が 1 年で最大 3 倍となる成果となり、広告からサイト訪問に至ったユーザーの直帰率も半減させることができました。
こうした施策によって、ユーザーが求めている製品広告を表示させることが容易となり、また今後こうしたユーザーが購入するであろう製品広告についても表示させることができるようになりました。
パナソニックは、NRI ネットコムのサポートにより、顧客がライフイベントを迎えようとしているまさにそのタイミングで、最適なメッセージを、最適なユーザーへ届けるために、ユーザーを分析し、示唆することを支援しています。
このように、これまでは個別の部門毎に別々に管理されてきたキャンペーンデータを統合して分析することによって、パナソニックは迅速に、かつ効果的にデジタル キャンペーンを展開しています。
現在、パナソニックでは、キャンペーンを担当する個別の広告会社の結果報告を待たずに、Google アナリティクス 360 にデータを一元管理することによって、デジタル キャンペーンの結果を把握しています。これにより、効率の悪いキャンペーンから、よりパフォーマンスの高い広告キャンペーンへ、迅速に予算を再配分することができるようになりました。
その結果、デジタル キャンペーンの広告予算は、全体で 3 割抑制することができ、余剰予算は、次の新規キャンペーンのために活用できるようになりました。